無題



 



 



「データ分析に使うデータは少ないより多いほうが良い」



分析の精度や偏りを避ける意味で、一般的に正しいと思います。



でも多くの人が見逃している致命的な落とし穴もあります。



例えば手元にあるデータを全て使って次のような分析結果が得られたとしましょう。



 



(1)運動施設利用者全員にアンケートを取った結果、ランニングマシーン



  への評価が高かった。もっとスムーズに予約が取れて、待ち時間も短いと



  更に良いという意見が多数得られた。



(2)展示会来場者の年齢は60代が最も多く、満足度スコアも全体平均で



   92点と大変好評だった。



 



これを「結論」として、必要なアクションを取って良いでしょうか?



次のことを是非確認してみてください。



 「このデータはどの範囲で集められたものか」



 



(1)は「運動施設を利用した人だけ」から集めたデータの結果です。



既利用者の満足度を更に高めるのが主目的であれば有効な情報です。



でももし稼働率を上げるために、新規利用者を呼び込むことが目的であれば



これらのデータが示すものは、新規利用者の声を代弁はしていません。



(2)も同様に、60代のスコアは高いかもしれませんが、メインターゲット



が40代だとすれば、この偏りを無視することで間違ったアクションを



取ることになります。



 



ポイントカード利用者のデータだけを使いながら、新規顧客を増やす手段



を考えようという場合も同じく注意が必要です。データの入手可否という課題



はありますが、まずは自分が見ている範囲と目的をよく照らし合わせること



から始めましょう。あまり意識されていないことが多いようですので。



商品軸、顧客セグメント軸、地域軸など、データはある軸を決めて分解することで



初めて深掘りを開始することができます。



「どの軸が良いのか」はケースによりますが、実務でうまく成果を出すためには、



考えておくべき点があります。



今回はその一つ目『目的へのインパクトを考える』です。



 



理論的には仮説としていくつもの軸が思いつくかもしれません。



 



例えば、地域軸で売上データを分解して、地域ごとのバラつきが分かったとしても、



そのビジネスがネット販売であれば(地域に左右されないので)どうでしょう。



論文としては良いかもしれませんが、実務への活用という点からは”使えない“情報に



なってしまいます。



 



「その軸は目的に影響(違い)を与える要素か?」という視点が必要といったことは、



いわゆるデータ分析本には書いていないと思います。



 



でも目的を意識しながら分析の範囲を絞っていかないと、非効率だけでなく絵に



描いた餅にしかなりません。 分析の早い段階で押さえておきたいところですね。


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