「相関」があっても「因果関係」があるとは限らない



 



分析結果は出せても、その解釈次第で間違った結論を導いてしまうことがあります。



身近なものには「相関」と「因果関係」の問題があります。



「相関」は2つのデータの動き(増減)が同時に起こることを指します。でも、どちらが原因でどちらが結果として増減が起こるのか、までは分かりません。そのため、相関分析の結果を見て、因果関係を結論とするときには人の解釈が入ってしまうのです。せっかく客観的なデータというものを使ったにもかかわらず、最後の最後で人の解釈(つまり主観や思い込み)が入ってしまいがちです。



 



現在、新潟県燕市役所で行っている「健康増進をデータ分析で」プロジェクトで扱ったデータの一部です。



例えば、55歳以上を見てみましょう。縦軸は何かしらの運動をしている人の割合です。



すると、運動をしている方が体調が良い(横軸)という傾向が見られます。



でもこの結果をどう解釈すると良いのでしょうか。



普通に考えると「やはり運動は健康に良い」となるでしょうか。この場合、「運動」が原因で「健康」が結果ですね。



 



ちょっと考えてみてください。その逆は成り立ちませんでしょうか?



 



55歳以上となると、体が健康でないと「運動でもしようか」という状況や気分にならないと想定したらどうでしょう?



つまり、「体調が良い」が(原因)で、「運動をする」は(結果)ということになります。



それでも同じ結果になるはずです。でもこのデータ(結果)からはそのどちらなのかはわからないのです。(他の調査が必要です)



 



このように、同じデータ分析結果でも、それをどのように解釈するかは、人の問題が入り込む厄介なものです。



その問題を知っていると、そこに注意が払われます。くれぐれも自信満々に間違った結論をデータと供に提示しないように。



 



新潟県燕市役所職員を対象としたデータを活用したプロジェクトが今年度もスタートしました。若手職員による実在のデータやテーマを扱うプロジェクトで、昨年度は「観光振興」をテーマに課題を掘り下げ、提言を作りました。



 



今年のテーマは「地場産業を活性化するのは」です。



 



みなさんがこのテーマを与えられて最初に考える/行うことは何でしょうか?



プロジェクトでは、課題がぐらつかないよう、無駄なデータ分析に走らないよう、まずはチームで課題をしっかり定義しました。具体的には次の2つです。



 



 ・地場産業とはどんな定義・指標で範囲を決めるのか



 ・“活性化している”とはどんな状態で、測る指標は何か



 



これらを決めないでデータを集めたり、分析に入ったりするとどうなるでしょう。



人によって定義や評価基準が異なるため、集めるデータも分析結果や結論までバラバラになってしまいます。それをやり直したり統一することのコストは甚大です。



 



地場産業を定義する指標として「売上額」「従業員数」「歴史」「知名度」など、



活性化の指標として「売上額の増減」「新規商品数」「認知度」などが



上がりましたが、チームとしてよりユニークな指標も検討中です。



 



この定義に沿って、必要なデータや分析方法を決め、実際のデータの入手可否などとの塩梅を見ながら現実解を探り、具体的な方策や提言につなげます。



 



最初の”入り口“が全ての効率や成果を大きく左右することを改めて確認しました。



第1回目(2016-8-25)



そうか、ここが問題だったんだ! がどんどん見えてくるデータの読み方・活かし方』(大和出版)が発売となります。



3月から続けての新刊です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4804718214
新潟県燕市で行った実務問題解決のプロジェクトを実録した「課題解決」の実例本と言うのがもっとも近い表現になります。



 



データ分析のやり方や応用事例はたくさん見たけど、実際に仕事の場でどうやって活用して、どういう成果を出せるのか、ということはあまり表に出てきていません。



一方で、それが「一番知りたいこと」だったりするのも事実です。



 



この点を初めて本にしたのがこちらです。



 





これまでの私の書籍とアプローチが異なり、データ分析の手法解説は1行も出てきません。

 

どうやって数字を武器に”答えを導き出すのか”、を「観光振興」というテーマで職員の皆さんと行った内容です。

 

「ああ、例えばそうやってやるわけね!!」

 

と頷いて頂ける内容を目指しました。

どうぞよろしくお願い致します!

 

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