AI時代には「分析手法を知っていること」は強みにならない

これまではExcelによる基本的なデータ分析作業がベースとなっていました。
誰でも簡単に覚えて使える方法だけでも、幅広く効果的な分析ができるので、これらをまずは知識として習得することには一定の価値があります。

一方で、AI(例えばChat-GPT)を使うことで、これらの「使い方」すら必要なくなってくるかもしれません。

以下の図は、Chat-GPT(無料版)に、回帰分析をお願いしたときのインプット(リクエスト)とそのアウトプットです。



Excelの元のデータ(黄色の部分)をコピーして、スクリプトにそのまま貼り付けます。
すると次の瞬間には、Excelのセルの枠を外して生データに変換してくれます。

そのあと、「これで回帰分析して結果のグラフ表示もしてくれ」とお願いするだけです。

Excelを使って、自分の手を動かして数ステップだけでもできますが、全く同じアウトプットを「それらのステップ(やり方)を知らなくても」AIで得ることができるようになりました。

もちろん「何も知識がない」とAIへのリクエストすらできないのではありますが、「何を知っているべきか」についてはこれまでと発想を変える必要はあるかもしれませんね。




 



 



来店者数(人)=広告宣伝費(千円) × 20.5 + 1267



 



のように、2種類の指標の間の関係性を数式化する回帰分析(かいきぶんせき)と呼ばれるものがあります(これを単回帰分析と呼びます)。賢くビジネスに応用すれば、圧倒的な威力を発揮します。



 



データ分析や統計を少しでも勉強したことがある人からは、次のような質問を受けることがあります。



 



「広告宣伝費1種類だけでなく、価格や駅からの距離など、より多くの指標を用いた回帰分析(これを重回帰分析と呼びます)のほうが良いのではないか?」



 



確かに、複数の指標で来店者数を説明する重回帰分析のほうが高い精度の分析ができるでしょう。一方で、次のようなデメリットもあります。



 



 ・分析そのものと理論を理解するハードルがかなり高い



 ・結果をグラフなどで可視化できないため、伝わりにくい



 



自分で理屈を説明できず(もしくは相手に理解されず)、結果をシンプルに示せないという、”実務上の“デメリットは想像以上に大きく、私は一般実務家にはお勧めしていません。



 



組織で使えてナンボ、という視点では単回帰分析に軍配が上がりそうです。





本日発売の『日経情報ストラテジー6月号』。
「間違いだらけのデータ分析」連載第15回は、回帰分析編の第2回。
3つの実務応用事例を書きました。

事業のゴールにロジカルに到達するためのKPI設定法など、いかにも”データ分析”的内容で「なるほど、こうやって役に立つのか」と腹落ちされると思います。

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