先日、大手メーカーにて実在の課題とデータを用いたワークショップを行いました。
データ分析のワークショップとはいえ、参加者全員で画面とにらめっこしながらデータをいじる、というものではありません。
この会社は、とある商品群について「売上減」を食い止めるための施策を効果的に検討するにあたり、関連するデータからその道筋を見出そうと1年近く模索し続けていました。結果的に想定していた結果になかなか至らず、今回のご依頼をいただいた次第です。
4つのグループを作り、私が全体のプログラムをリードしました。
具体的には、課題に対する評価指標の置き方、目的とそこから社内のアクションにどうつながるのか、といった「分析前」に必要となる検討事項をグループディスカッションで考えました。
もうこの時点で「あれ?こう考えると、今までやってきた分析や検討に気になるところが出てきたぞ」と気づく人が現れ始めます。
具体的には「売上変動率」を評価指標と置き、売上率を大きく落とした商品群を「悪者」と定義していたのです。その悪者の拝見を知るために、顧客属性や販売ロケーションなどのデータを掘り下げ、何かヒントを見つけようとしていました。
ところが、上位の評価指標は「変化率」という(動的)な指標を見ている一方、顧客属性やローケーションなどは、変化を供わない(静的)な指標データです。変化の要因を、変化しない要因で説明しようとしているので、うまく両者がマッチせず、何も見えてこないという事態が続いていたことに気づきます。
このフェーズをクリアできたら、次には、その評価指標をより具体的な指標に分解し、問題点を突き止めるための比較軸を挙げるといったことをグループごとに進めました。
グループ間で随時発表を行い、質問や突っ込みをしあうことで、新たな気づきや発想が生まれ、結果的に参加者の学びにつながります。
今回このプロジェクトがうまく行ったのは、参加者すべてが自業務に直結しているわけではないものの、全員になじみがある身近な課題であったこと。そして、比較的シンプルな課題であると同時に、考え方により掘り下げられる範囲や可能性が広く存在したことなどが挙げられるでしょう。
もちろん、参加者の積極的な参加マインドが非常に場を盛り上げたこともあります。
通常の研修とは異なるこの試みに、大変高い評価をいただくことができました。
一般論による研修で「型」を学ぶことも重要ですが、そのあとには、「実践型」「プロジェクト型」の取り組みで、身近な課題に”こうやって答えを出せばよいのか”という実体験をすることで、一気に組織のデータ活用力が飛躍します。
ご興味がある方は是非ご相談ください。