実務データ分析虎の巻Vol.90~陥りがちな思考(分断本能)


陥りがちな思考(分断本能)

 

人は物事を極端な2つに分けたがる

 『FACTFULNESS』(日経BP社)というベストセラーに「分断本能」という表現で紹介されていた、誰もが陥りがちな思考の一つです。横浜と札幌の気温の比較を一例に取ります。

2018年の横浜の平均気温は17.4度、札幌は9.5度(図中の赤線)でした。これをもって「札幌は横浜より寒い」ということもできるでしょう。

 

平均というすぐにわかる指標を用いて、2つの都市を”寒い地域“と”そうでない地域“に分けて(分断して)います。

 人は、このように明確な違い(このケースでは平均値)にフォーカスを当て、その違いをハイライトすることで、「ほら、この2つ違うでしょ!」と言いたがるというのです。

 皆さんには身に覚えはないでしょうか。

 

「分かりやすい結果が欲しい。誰が見てもわかる差を示したい」

 データを扱っていると、自分がこういう欲求に突き動かされてことに気付かないものです。

 元のデータのバラつきを見ると、両市の気温の範囲にはかなり重なり合っている部分も多いことが、分かりますよね。これを見ると、必ずしも単純に“寒い地域”と“そうでない地域”という2分割だけではないことが分かると思います。

単純な指標を使って明確な区別をするとわかりやすい結論を導き出せるかもしれませんが、分割本能による強引な結論を作っているだけかもしれません。



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