実務データ分析虎の巻Vol.89~「都合の良いデータで都合の良い結論」問題


「都合の良いデータで都合の良い結論」問題

研修やセミナーをしていると、たまに聞かれる質問があります。

 「自分の言いたいことに合わせて、都合の良いデータを引っ張ってきて、都合の良い結論を作ってしまうってことはないですか?」

 これに対する私の答え:「分析者によっては、もちろんあり得ます。」

 「それを避けるためには、どうすれば良いのでしょうか?」

 これに対する私の答えはこちらです:

「データ分析の活用を教えている私としてはその答えは持っていません。
   なぜなら、本人が意識的にそうしている前提では、これは“データ”や“データ分析”の問題ではありませんよね。
 分析や知識といった方法論で解決できる要素は思いつきません。
 分析者がその場をどう乗り切ろうとしているのか、どういうことを第一に置いているのかといった、分析者個人の価値観や覚悟、倫理観の問題だと言えないでしょうか。
 意図的にやっているとすれば、方法論で何とかできる/する話ではないはずです。
 分析の問題と分析者の意図・意識の問題とを切り離して考えることが求められます」

 例えば、私にもこんな状況は何度もありました。

『あと30分以内に本部長向けの提案を作らなければならない状況にあります。今から本腰を入れてそもそも論を考えて準備する時間はなく、とりあえず明確にこちらが言いたいことを示す都合の良いデータだけを集めて、有無を言わさずに提案を通してしまいたい。』

 教科書的に言えば、そんな状況でも客観的データを全て集め、論理的な結論を準備して提示すべきだ、となるのでしょう。

一方それよりも、「まずは自分の考える提案を是が非でも通す。

結果には全て責任を負う」という”意思“が優先されることも現実的には起こり得るでしょう。

いずれにせよこれは分析方法とは関係ない話ですよね。


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